🕓 2025/3/20
#広告
目次
近年、日本の観光業界は大きな変化を遂げています。2020年以降のパンデミックによる観光業の低迷を乗り越え、2024年には過去最高の訪日外国人旅行者数を記録しました。特に円安の影響により、日本は海外旅行者にとって魅力的な目的地となり、アジア圏だけでなく欧米や中東からの訪日客も増加しています。
また、旅行者のニーズも変化し、かつての「ゴールデンルート(東京・大阪・京都)」だけでなく、北海道や九州、北陸などの地方観光地にも注目が集まるようになっています。
本記事では、2024年の最新データをもとに、訪日外国人の旅行動向、観光トレンド、消費傾向について詳しく解説し、観光業界がどのように対応すべきかを探ります。
近年、訪日外国人(インバウンド)の旅行需要は、コロナ禍を経て再び大きな伸びを見せています。特に2024年には、過去最高となる約3,687万人の訪日客数を記録し、今後さらなる増加が期待されています。
この項目では、2024年の最新データをもとに訪日外国人の旅行動向やトレンドをわかりやすく解説します。
2024年の訪日外国人数は約3,687万人となり、コロナ以前のピーク時である2019年(約3,188万人)を約500万人も上回る水準に達しました。この急増の要因としては以下が挙げられます。
特に、円安による旅行の割安感は、欧米豪を中心とした遠方からの旅行客増加につながりました。高級ホテルやレストラン、質の高いサービスを比較的手頃な価格で楽しめるようになったことが理由です。
2024年に特に多く訪れた国籍別上位5カ国は以下の通りです。
順位 | 国籍 | 訪日客数(万人) | 前年比の動向 |
---|---|---|---|
1位 | 韓国 | 約882万人 | 大幅増(2019年比も大きく上回る) |
2位 | 中国 | 約698万人 | やや回復が遅いが依然として高水準 |
3位 | 台湾 | 約604万人 | 安定的に高水準 |
4位 | アメリカ | 約273万人 | 大幅増加 |
5位 | 香港 | 約268万人 | 大幅増加 |
2024年の訪日外国人旅行者の間では、依然として**東京・大阪・京都の「ゴールデンルート」**が高い人気を誇っています。実際に、訪日外国人の約60%がこれらの都市で宿泊しており、定番の観光スポットも引き続き注目を集めています。
例えば、京都の伏見稲荷大社や清水寺、大阪のユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)、東京ディズニーリゾート、奈良公園などは、変わらず多くの外国人観光客で賑わっています。特に、インスタグラムやTikTokで映えるスポットとしても人気が高く、SNS上での拡散力が集客に大きな影響を与えています。
しかし、最近では地方観光の需要も増加傾向にあり、北海道、北陸、甲信越エリアといった「非都市部」への関心が高まっています。特に、四季折々の美しい風景が楽しめるエリアは、SNSでの発信をきっかけに個人旅行客の訪問が増えています。たとえば、**北海道の美瑛の青い池、金沢のひがし茶屋街、長野の地獄谷野猿公苑(スノーモンキー)**などが外国人観光客の間で話題になっています。
また、温泉地も再び人気を集めており、**草津温泉(群馬)、別府温泉(大分)、由布院(大分)**などでは外国人向けの宿泊プランや体験型ツアーが充実してきています。特に、地元ならではの文化体験や、日本の伝統的な「おもてなし」を味わえる旅館の宿泊が人気です。
このように、訪日観光のトレンドは徐々に都市部から地方へと広がる傾向を見せており、今後も多様な観光資源を活かした地域の魅力発信が求められています。
訪日外国人の旅行スタイルは、団体ツアーから個人旅行(FIT: Foreign Independent Travel)へと大きくシフトしています。
旅行スタイル | 2024年の割合 | 主な特徴 |
---|---|---|
個人旅行(FIT) | 約85% | 自分で宿泊施設や交通手段を手配し、自由に旅行を楽しむ。 |
団体旅行 | 約12% | 主に中国や東南アジアの一部の地域で一定数が利用。 |
特に欧米豪、韓国、台湾、香港市場からは自由で独自性の高い旅行を楽しむ個人旅行が主流となっています。
また、「旅の質」を重視した旅行が増加しており、一人あたりの旅行支出額も平均22.7万円(2019年比43%増)に達するなど、高級志向や体験重視の旅行者層も増えています。
2024年のインバウンド消費は「モノ消費」から「コト消費」へ移行し、以下のような体験型のニーズが強まっています。
消費タイプ | 具体的な例 |
---|---|
食文化体験 | ミシュラン星付きレストラン、日本料理の料理教室、食べ歩きツアー |
伝統文化体験 | 着物レンタル、寺社での座禅や茶道、忍者・侍体験 |
ポップカルチャー | アニメや漫画の聖地巡礼、秋葉原・池袋のアニメショップ訪問 |
これらはSNSでもシェアされやすく、さらなる観光客の誘致につながっています。
以上のように、訪日外国人の旅行需要やスタイルは、国籍・年齢層・旅行の目的などで多様化しています。宿泊施設や観光地では、訪日客のニーズを深く理解し、柔軟なサービスやプロモーションを行うことが今後の成功のカギとなります。
具体的には以下のような取り組みが求められます。
訪日外国人旅行者数が急速に回復・拡大する中、旅行者が日本に求める体験やサービスにも大きな変化が起きています。2024年の最新データから明らかになった具体的な旅行ニーズを、わかりやすく整理して紹介します。
訪日外国人の旅行ニーズは、従来の「モノ消費(ショッピング等)」中心から、「コト消費(体験型)」へと移行しています。具体的には、以下のような体験が特に人気です。
中でも特に日本食へのニーズは高く、寿司、ラーメン、和牛をはじめ、ミシュランガイド掲載の高級レストランへの訪問や、日本料理の料理教室に参加する外国人旅行者が急増しています。
また、伏見稲荷大社(京都)や奈良公園(奈良)のような伝統的で「SNS映え」するスポットが引き続き人気を集め、アニメやゲームに関連する秋葉原や池袋などを訪れるポップカルチャーファンも増加傾向にあります。
旅行者が求める体験やサービスが多様化することで、食事・宿泊・交通手段など、旅行中に利用するインフラに対しても変化が生まれています。
(1)食文化のニーズの変化
外国人旅行者の「食」への関心はますます深まっています。特に以下のようなサービスへの需要が伸びています。
ニーズ | 具体例 |
---|---|
本格的な和食体験 | ミシュラン星付きの高級店、地元グルメ(寿司・ラーメン・和牛) |
体験型サービス | 料理教室、酒蔵見学ツアー、市場めぐりツアー |
食の多様性への対応 | ハラール認証料理、ベジタリアン・ヴィーガン対応料理 |
外国人旅行者は単に美味しい料理を味わうだけでなく、「その土地ならではの食文化を体験すること」に価値を見出しています。
(2)宿泊施設に求められる新たなサービス
訪日外国人の増加とともに、宿泊施設にも多様なニーズが生まれています。
宿泊ニーズのタイプ | 具体例 |
---|---|
日本らしい宿泊体験 | 温泉旅館、古民家ホテル、寺院の宿坊 |
新しいスタイルの宿泊施設 | 豪華なカプセルホテル、コンドミニアム型宿泊施設 |
中長期滞在向けの設備 | キッチン・洗濯機付き施設(コンドミニアム、民泊) |
訪日客の旅行スタイルが個人旅行中心となったことで、自分の旅のスタイルにあった宿泊施設を選ぶ傾向が強まっています。特に日本文化や非日常的な空間を楽しめる施設、また家族旅行や長期滞在に便利な施設が人気を集めています。
(3)交通手段の利便性・多様性へのニーズ
交通手段の充実と利便性の向上も、外国人旅行者が日本旅行を楽しむうえで重要な要素です。
交通手段のニーズ | 具体例 |
---|---|
鉄道利用の便利化 | ICカード(Suica、PASMO等)の普及・多言語対応アプリの充実 |
地方観光の充実 | レンタカー利用、JR周遊パス・高速バスの外国語対応 |
移動中の利便性 | 外国語対応の案内板、乗換案内アプリ |
都市部ではICカードの利用が進み、地方観光でもレンタカーや周遊パスを利用して地方エリアを自由に巡る旅行者が増えています。移動中の快適性・利便性は、外国人観光客にとって日本を楽しむ重要なポイントとなっています。
旅行客が求めるサービスが多様化する中、利便性を支える「多言語対応」と「キャッシュレス決済」の充実も不可欠となっています。
(1)多言語対応へのニーズ
多言語対応は外国人が日本を訪れる際の安心感につながる重要なサービスです。特に、以下のような対応が進んでいます。
多言語化が進むことで、外国人旅行者がストレスなく日本を楽しめる環境整備が進んでいます。
(2)キャッシュレス決済へのニーズ
コロナ禍を経て、非接触型のキャッシュレス決済の需要が一気に高まりました。以下のような決済手段が日本全国で浸透しています。
決済方法 | 具体例 |
---|---|
クレジットカード | Visa、Mastercard、JCB、AMEX等 |
QR決済(海外向け) | WeChat Pay、Alipay |
電子マネー・モバイル決済 | Apple Pay、Google Pay |
主要都市はもちろん、地方の小規模店舗でもこうした決済方法への対応が進んでおり、旅行者の利便性・満足度向上に大きく貢献しています。
訪日外国人の数が増加する中で、宿泊施設や観光事業者にとって、どのようにして効果的に集客するかが重要な課題となっています。インバウンド向けの集客方法は、単に観光客に情報を届けるだけでなく、オンラインでの存在感を高め、ターゲットとなる旅行者層にリーチする戦略が必要です。ここでは、2024年の最新トレンドを踏まえたインバウンド集客の方法を解説します。
近年、多くの訪日外国人が旅行の計画を立てる際に、**OTA(オンライン旅行代理店)**を利用しています。Booking.comやExpedia、Agoda、Trip.comなどのグローバルOTAは、世界中の旅行者に宿泊施設やツアーを紹介できるため、インバウンド市場では欠かせない存在です。
OTAのメリットは、単に宿泊施設を掲載するだけでなく、口コミやレビューを活用して信頼性を向上させることができる点にあります。多くの外国人旅行者は、宿泊施設や観光アクティビティを選ぶ際に、他の旅行者の評価を参考にします。そのため、OTAにおいて高評価のレビューを集めることは、予約率を向上させる上で非常に重要です。
また、OTAのランキングを上げるためには、定期的にプロモーションを活用したり、価格設定を柔軟に調整したりすることも効果的です。特に、期間限定割引や長期滞在向けの特典などを設けることで、旅行者にとって魅力的な選択肢となります。
訪日外国人が日本旅行の情報を探す際、最も多く利用するのがGoogle検索です。そのため、観光施設や宿泊施設は、Google上での露出を高めることが集客の鍵となります。
Google検索で上位表示されるためには、適切なSEO対策が必要です。例えば、宿泊施設や観光地に関するブログ記事を多言語で作成し、**「Tokyo hotel」「Kyoto travel guide」**といったキーワードを適切に組み込むことで、検索エンジンからの流入を増やすことができます。
Googleマップは、外国人観光客にとって、現地の施設やレストランを探す際に欠かせないツールです。そのため、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)を活用し、施設情報を正しく登録し、写真や口コミを充実させることが重要です。特に、口コミの数と評価の高さは、Googleマップの検索結果で上位表示される要因となるため、積極的にレビューを集める施策を行うと良いでしょう。
SNSは、訪日外国人への情報発信において非常に強力なツールです。特に、Instagram・YouTube・TikTokは、視覚的なコンテンツが旅行者の興味を引き、実際の行動につながる傾向があります。
Instagramは、旅行者が観光地を決める際の参考にする重要なプラットフォームです。**「#JapanTravel」「#TokyoFood」「#KyotoTemple」**といったハッシュタグを活用し、写真や動画を投稿することで、世界中の旅行者にリーチすることができます。また、インフルエンサーとのコラボレーションを行い、宿泊施設や観光地を紹介してもらうことで、より多くの人に情報を届けることが可能です。
YouTubeでは、単なる観光地の紹介ではなく、旅行のストーリーを伝えるコンテンツが人気です。例えば、「東京1日観光モデルプラン」「京都の隠れた名所紹介」といったテーマの動画を作成することで、旅行者にとって役立つ情報を提供しながら、ブランドの認知度を高めることができます。
TikTokは、短い動画を通じて、瞬時に多くのユーザーに情報を届けることができるプラットフォームです。特に、**「日本で絶対行くべきカフェ5選」「東京でしか食べられないスイーツ」**といった形で、短時間でインパクトのある情報を提供することで、若年層の旅行者に強い影響を与えることができます。
中国からの訪日客も依然として多く、中国市場向けのマーケティングは特別な対策が求められます。なぜなら、中国の旅行者はGoogleやInstagramではなく、**WeChat(微信)やWeibo(微博)、小紅書(RED)**といった独自のプラットフォームを利用するからです。
特に小紅書は、若年層の中国人旅行者にとって重要な情報源となっており、ここで話題になった飲食店や観光スポットは、訪日客の間で瞬く間に人気スポットとなる傾向があります。
近年、インフルエンサーを活用したマーケティングは、訪日外国人向けの集客において欠かせない手法となっています。特に、YouTubeやInstagramの影響力のあるインフルエンサーが日本の観光地や宿泊施設を紹介することで、短期間で多くの関心を集めることが可能です。
また、口コミサイト(TripAdvisor、Googleレビュー、Yelp等)での評価管理も重要な施策の一つです。訪日外国人は、ホテルや観光地を選ぶ際に、過去の旅行者のレビューを参考にすることが多いため、ポジティブな口コミを増やし、ネガティブな口コミには迅速に対応することが求められます。
訪日外国人観光客の増加に伴い、ホテル業界では**「どのようにインバウンド需要を取り込むか」**が大きな課題となっています。特に個人旅行(FIT)の増加や、多様化する旅行ニーズに対応するためには、OTAの活用やマーケティング戦略の見直しが求められます。
本項では、外国人宿泊客を惹きつけるための具体的なホテル戦略について解説します。
訪日外国人の多くは、日本国内の宿泊施設をOTA(Online Travel Agency)経由で予約しています。Booking.com、Expedia、Agoda、Trip.comなどのグローバルOTAをうまく活用することが、インバウンド宿泊客を獲得する鍵となります。
ターゲット市場に合ったOTAを選定する
OTAのランキングを向上させる
OTAと自社サイト予約のバランスを取る
訪日外国人観光客の増加に伴い、ホテルの多言語対応の重要性が高まっています。言葉の壁を解消することで、予約率の向上や宿泊客の満足度向上につながります。
項目 | 対応策 |
---|---|
公式サイト・OTA掲載情報 | 英語・中国語・韓国語など主要言語での詳細な情報掲載 |
チェックイン・館内案内 | 多言語パンフレット、翻訳アプリ、タブレット端末の設置 |
客室内設備 | 多言語表記のリモコン・注意書き、動画での案内 |
コミュニケーション | AI翻訳機の活用(Pocketalkなど)、英語対応可能なスタッフ配置 |
また、Google翻訳や翻訳アプリを活用した「非対面対応」も増えており、スタッフの負担を減らしながらスムーズな対応が可能になります。
訪日外国人の中には、日本の食文化を体験したいと考える旅行者が多く、ホテルの朝食やレストランのメニューも集客に影響します。
旅行者のタイプ | 好まれる食事 |
---|---|
欧米圏 | 和食(寿司、天ぷら)、オーガニック料理、ビーガン・ベジタリアンメニュー |
アジア圏(中国・韓国) | 和牛、しゃぶしゃぶ、ラーメン、和風スイーツ |
中東・ムスリム圏 | ハラール対応メニュー、ノンポーク・ノンアルコール料理 |
対策例
こうした対応を行うことで、宿泊体験の満足度が向上し、リピーター獲得にもつながります。
訪日外国人は、日本国内での現金払いに不便を感じることが多く、クレジットカードやQRコード決済の普及が求められています。特に、中国人旅行者はAlipayやWeChat Payを、欧米圏の旅行者はApple PayやGoogle Payを多く利用します。
ホテルのフロントでスムーズに決済ができる環境を整えることで、訪日外国人の利便性が向上し、満足度向上にも直結します。
外国人観光客の集客には、SNSや口コミサイトの活用が欠かせません。特に、Instagram、YouTube、TikTokなどのSNSでの情報発信は、ホテルの認知度を向上させる大きな武器となります。
Instagram・TikTokで「映える写真・動画」を発信
YouTube・旅行ブログでホテル体験動画を公開
口コミサイト(TripAdvisor・Googleレビュー)で評価を向上させる
SNSや口コミサイトの評価は、宿泊予約に直結するため、積極的に活用することが重要です。
2024年の訪日外国人市場は、コロナ禍以前を超える勢いで拡大し、多様な国・地域からの旅行者が日本を訪れています。これに伴い、観光業界においても従来の集客手法に加え、デジタルマーケティングや体験型観光、地方観光の促進がますます重要になっています。
特に、個人旅行(FIT)の増加、SNSを活用した情報収集の活発化、食文化や伝統文化への関心の高まりといったトレンドを踏まえた戦略が求められます。多言語対応、キャッシュレス決済の導入、口コミやレビューの管理、OTAの最適な活用など、観光施設や宿泊業界は柔軟に対応することで競争力を高めることができるでしょう。
また、地方観光の人気が上昇している今こそ、日本各地の魅力を最大限に発信し、都市圏に集中しがちな訪日客を地方に分散させることも、観光業界全体の持続可能な発展に不可欠です。インバウンド市場の変化を的確に捉え、戦略的に対応することが、今後の観光業の成功の鍵となるでしょう。